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ヤマハのドラッグスター400。

今でも新車のラインナップにあって、外観は発売当初と大きく変わっていません。

入庫したドラッグスターは正に発売当初の’96モデル。

しかも当時のドラッグスターのイメージカラーのオレンジ。

アメリカンに興味のなかった自分ですが、発売された時はこのオレンジとドラッグスターのデザインに強く惹かれました。

そんなドラッグスターですがこの車両も製造から既に約20年経っています。

この車両自体、車検やメンテナンスで当店で10年くらいは診させてもらっています。

今回はエンジンは問題なくかかるけど走らなくなったとの事。

まずはギヤをニュートラルにしてエンジンをかけてみます。

全く問題なく吹け上がりも良好。

で、クラッチ握ってギヤを1速に入れてクラッチ繋いでいくとすごく嫌な音がする。

車体左後ろあたりからの音で、同時に振動も発生。

すごく”ガリガリ”いっているのでそれ以上クラッチを繋げません(精神衛生上)。

どうもドライブシャフトから後輪までの間が怪しい。

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試しにエンジンを切ってニュートラルにしてバイクを押し引き。

全く問題なし。

???

ドライブシャフトから後輪まではギヤなどが常時噛み合っていて直結なので

スムーズに問題なく押し引きできないとふんでいたのですが、、、

改めてエンジンかけてギヤ入れてクラッチを離していくとやはりドライブシャフトASSYのあたりから異音。

そこそこなトルクがかかると異常が発生しているのかな?

何れにしてもドライブシャフト周りが怪しいのでまずはドライブシャフトオイルを抜いて点検。

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ドレンボルトを外して抜いてみると多少細かい金属粉は混ざっているものの金属片などはでてこない。

抜いたオイルからは大して何も分からず。

とりあえずドライブシャフトASSYを外してみようという事で作業開始。

ドライブシャフトASSYはリヤタイヤと一緒に車体から外します。

その為にはドラッグスターの場合、リヤフェンダーをごっそりと車体から取り外さなければなりません。

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こんな感じ。

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リヤフェンダー付けないで小さいシートを付けてカスタムしたら面白そう。

とか思いながら作業を進めてドライブシャフトASSYを外します。

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こうやってシャフトごと外します。

とりあえずこの段階では大きな問題なし。

そして分解。

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まずは前後にばらします。

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こっちは前側でシャフト側。

ん?

ブーツが邪魔なので外します。

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んん?

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んんん?

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スプラインが、、、なくなっている。

相手側は?

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何かスプラインに段が付いている。

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こっちもスプラインの山がかなりなくなっている。

原因はこれですね~

多少山があるので大してトルクがかかっていない時は何とか噛み合っているけど、

ちょっとトルクが大きくなるとガリガリさせながら空回り。

金属粉が混ざった黒いカスみたいなものも、そこそこな量でてきました。

ここはドライブシャフトオイルに浸っている部位ではないのでオイルを抜いても何ともなかった訳です。

こっちの山がまだ多少残っているスプラインの部品はドライブシャフトASSY内のピニオンギヤ。

相手側のスプラインがかなりなくなっている部品がカップリング。

この2つの部品の交換決定。

で、パーツリスト見るとなんとピニオンギヤが単品で設定されていない。

カップリングは単品設定されているけど当然これだけでは意味なし。

ダメもとでヤマハにTEL。

やはりピニオンギヤは単品設定していなく、単体では販売していないとの事。

ピニオンギヤと、それと噛み合うギヤとの関係がどうとかこうとか。

シビアなんですかね、いろいろ。

まぁ、抜いたドライブシャフトオイルに金属粉が混ざっているので何かしら金属が摩耗しているはず。

動かした感じではベアリングに大きな異常は感じられないから多分噛み合っているギヤの摩耗。

摩耗しているギヤに新品のギヤを組み合わせたら当然いいことない筈だし、しょうがないですね。

で、早速ドライブシャフトASSYの金額を調べてみると、、、

¥85,000-

うぉ、予想通りけっこう高額。

しょうがないです、お客さんに電話。

「愛着あるし直す!」

英断されました。

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ヤマハより高額部品入荷。

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ピカピカ新品ドライブシャフトASSY丸ごと。

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カブトガニに見えて仕方ない、、、

早速取り付けてドライブシャフトオイル入れて完成。

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そしてエンジン始動し、ギヤ入れてクラッチ繋いで発進。

変な音もなくスムーズに加速。

修理完了です。

 

今回の不具合、距離走っている車両や古い車両で起きやすいと思われます。

今回のスプラインのところ、もともとはグリスがしっかり塗ってあるのですが、

分解した時グリスらしいものは全くありませんでした。

距離的には30000km弱なのでそれほど走っている訳ではありません。

ただ20年経っているのでグリスが変質してしまったのだと思います。

通常、点検や分解するところではないので予防はなかなか難しいと思います。

ヤマハから聞いた話だとドラッグスター400だけでなく、ドラッグスター1100でもたまにある不具合だそうです。

タイヤ交換の時などに一緒にこのスプラインのところのグリスアップをする分にはそれほど費用がかからない筈です。

ダメになってからだとASSY交換で大きな出費になってしまうので、

ドラッグスター乗りの皆さんは是非予防措置をとって下さい。