エンジンがかからなくなったと入庫したバイク。


 

 

 

 

 

キムコのVJR125というバイク。

そう言えば以前も同じ名前のバイクの修理をしたことがあったはず。

スタータースイッチでエンジンがかからない②

今回もスタータースイッチ(セルスイッチ)を押してエンジンがかからなくなったとの事。


 

 

 

 

 

試しにスタータースイッチを押してみても、「カチッ」というリレーの音はするけどスターターモーターは動かない。

バッテリーを点検してみると電圧は12V以上あり、スタータースイッチを押したときに大きく電圧が下がることもない。

ってことはリレー自体かそこから先に問題あり。

まずはシートトランクを脱着。


 

 

 

 

 

奥の方にスターターモーター発見。


 

 

 

 

 

が、リヤのインナーフェンダーがあってスターターモーターの端子部にアクセスできない。

なので、インナーフェンダー脱着。


 

 

 

 

 

スターターモーターかなり丸見え。


 

 

 

 

 

そしてプラスの端子部にアクセスできる状態になりました。

端子カバーを外して端子を露出。


 

 

 

 

 

ここにテスターのプラスのリード線接続。

マイナスはボディーアースなのでスターターモーター近くの金属部分に接続。

そして電圧を測定します。

何もしていないときは当然0V。


 

 

 

 

 

そしてスタータースイッチを押すと、


 

 

 

 

 

12.11V。

スターターモーターに電圧はかかっていますね~。

ってことはスターターモーター本体の不具合が濃厚。

エンジン本体がダメな可能性もなしではないですが、

エンジンがかからなくなる前までエンジンに問題はなかったという話だし、

スターターモーターに電圧がかかってもモーター自体が動こうとしている様子がなく、何の変化もないのでモーター本体の不具合が一番怪しい。

という事でスターターモーターを取り外します。


 

 

 

 

 

外したモーターのピニオンギヤ側を見ると、


 

 

 

 

 

乳化したオイルの付着。

あまり長距離走らないのかな~

と推測でき、そうなると通常よりもスターターモーターの使用頻度が高くて傷みやすいよな~、とか思ったり、、、

ここから分解していきますが、分解したあとで組み付ける時にヨークの位置が分からなくならないように一応マーキング。


 

 

 

 

 

そして分解開始。


 

 

 

 

 

モーター背面のセットボルトを外して、ヨークを抜きます。



 

 

 

 

 

ヨークを抜く時にはアマチュアがブラシホルダーから抜けないように抑えながら抜きます。


 

 

 

 

 

そしてこの段階でブラシの状態をチェック。


ブラシはしっかり飛び出していてアマチュアに接触しているように見えます。

ちょっと期待外れ、、、

というのも、ブラシが引っかかって飛び出せずにいて、アマチュアのコンミテーターと触れていないことで不具合を起こしていると思っていたから。

スターターモーターの不具合ではけっこう多い事例なのです。

分解している最中のちょっとした振動や衝撃で飛び出すようになることもあるし、まぁ先に進みます。

ブラシホルダーからアマチュアを引き抜き。


 

 

 

 

 

やっぱりブラシはきちんと飛び出しています。

が、アマチュアのコンミテーターを見てみると、


 

 

 

 

 

真っ黒。

もしかしたらこのせいでブラシとの接触不良が起きていたのかも。

更にセグメント間にブラシの削れカスがかなり溜まっている。

隣合っているセグメント間で導通してしまうとモーターとしての機能が果たせなくなることもあります。

ブラシも点検。


 

 

 

 

 

結構バリが出ています。

これはこれで広範囲にセグメントと接触してしまっていいことなし。

ブラシホルダーから取り出して、


 

 

 

 

 

面取り。


 

 

 

 

 

もちろん両側とも。

そしてもコンミテーターも研磨してセグメント間の目詰まりも取ります。


 

 

 

 

 

気持ちいいくらいピッカピカ。

これが本来の姿。

ブラシもブラシホルダーにセットして、


 

 

 

 

 

アマチュアをセット。


 

 

 

 

 

あとは元通りヨークをマーキングに合わせて組み付けて、


 

 

 

 

 

セットボルトを通して組み上げます。


 

 

 

 

 

この状態で一度バッテリーに直に繋げて作動確認。

元気に問題なく作動。

あとは車体に元通り組み付けて、


 

 

 

 

 

スタータースイッチON。


 

 

 

 

 

元気にエンジン始動。

一度エンジンきって、改めてスタータースイッチを押しても問題なくエンジン始動。

これを何度か繰り返しても問題なし。

修理完了。