4ストのビーノ。

走行中にエンジンが止まってしまったとの事で入庫。

ちょっと前からエンジンのかかりも少しわるかったらしい。

初期型のキャブレターモデルだけどまだ走行距離は約4500km。

このビーノは走行距離2700kmで7年前に中古車として当店から購入していただいたもの。

普段から乗ってはいるけど近場しか走らないから7年で1800km、

平均すると1年に260kmくらいしか走っていない。

で、さっそくエンジンをかけてみようとスターターボタンを押すとスターターモーターは軽やかに回る。

軽やかすぎる。

キックをしてみると、異常に軽い。

エンジン内に圧縮がかかっていなさそうです。

点火プラグを外して圧縮圧力を測定すると4kgf/cm2と極端に低い。

点火プラグはきちんと組付いていたからエンジン内部が原因で間違いなし。

これだけ圧縮圧力が低いとエンジンを分解しないと修復不能。

まずは後ろ周りの外装から取外し。

シートボックスを外して外装を外します。

続いてステップボードも。

もちろんその前にバッテリーなんかも外します。

エンジン周りが見えてきた。

ビーノは腰上だけのオーバーホールならエンジンを車体から降ろさなくてもできます。

次はエンジン周りの部品たちの取外し。

まずはイグニッションコイルとプラグキャップをまとめて取外し。

次にエアクリーナーボックスを取外します。

固定ボルトを外して、キャブレターとのクランプ緩めて、ホース類を抜いて、ボックスを取外し。

そして次はキャブレター。


スロットルワイヤーや各ホース・ハーネスの接続等を外して、

キャブレターも取り外します。

あっ、そうそうこの時点で先に冷却水は抜いています。

キャブレターには冷却水のホースもはいってきているので。

だいぶすっきり。

このあと写真を撮り忘れたのですが、マフラー、ラジエター、ラジエターファンも取り外しています。

ピストン上死点を出すためにこのへんまで取り外す必要があります。

サーモスタット、ウォーターポンプも取外し。

そしていよいよシリンダーヘッドの取外し。

ここからもあまり写真を撮れなかったのですが、テンショナーを外してカムスプロケットも外してシリンダーヘッドを抜きます。

そしてヘッドを見てみると、


黒い。

見事にカーボンびっしり。

固くて厚みもあるカーボンが溜まっている。

この後バルブを外して一晩クリーナー漬けにして清掃。

その後擦り合わせを行い組み付け。

すっかりキレイになりました。

このシリンダーヘッドをエンジンに組み付け、外した諸々の部品たちも組み付け、

冷却水を入れてエンジンオイルも交換していよいよエンジンをかけます。

キック2,3発であっさりエンジン始動。

セルでかけてももちろんいいんですが、オーバーホール後はキックでかけちゃいますね。

もちろんセルでも問題なくエンジンかかります。

試乗してみて問題ないことも確認。

冷却水の量もチェックして問題なし。

圧縮が復活して修理完了。

4スト50ccはシリンダーヘッドのカーボン噛み込みで圧縮不良になることが多いです。

今回のビーノは走行距離が約4500kmとかなり短い距離でカーボン噛み込みによる圧縮不良になっています。

使い方、乗り方次第ではこのように短い距離でも起きてしまうようです。

特に近場しか乗らない方、エンジンが暖まる前からガンガン走る方は要注意。

対策としてはエンジン内やガソリンの通り道をキレイにする添加剤の使用。

ヤマハやスズキからも純正品でそういったケミカルが出ていてメーカーもそれらの使用を推奨しています。

WAKO’Sからも基本的には車用としてですが出していて、分量を守ればバイクで使っても問題ありません。

最近エンジンのかかりが悪くなったとかエンストしてしまうといった症状がでてきたら、

早めにこういった添加剤を使う事をお勧めします。

うまくいけば症状が改善されてエンジンを分解しないで済むかもしれません。

症状がでていなくても普段から使うのもおススメです。